立石仲見世商店街のミツワ横のトイレ前にあります。
なんのためにあるのか?
得も言えぬ存在感。いつもはトイレ前に堂々と座しています。
でも、商店街のセールのチラシなんかも時折貼ってあり、
使われていないわけでもなさそう。
以前から気になっていました。
立石に詳しい郷土と天文の博物館の学芸員の方に聞くと、
「戦車だね」とおっしゃっていました。
それ以来、私たちの仲間の中での呼び名は「戦車」になりました。
こちらも『立石散策劇場』の際に、
商店街の人や前理事長に話をうかがうことができました。
商店街の人たちの呼び名は「夜警小屋」。
簡潔に機能性を伝える名前。全くの無駄がありません。
坂口安吾の日本文化私観の一節
「それが真に必要ならば、必ずそこにも真の美が生れる。
そこに真実の生活があるからだ」に通ずるものがあるような気がします。
そして、立石の町の本質もここにあると思います。
昼の姿は仮の姿で、毎晩11時過ぎになると動きだします。
いや、勝手に動きだすのではなく、人がガラガラと押して動かします。
動力のいらない手押し車。これぞ立石。これぞエコ。
夜警番をひとり雇っているそうです。
現在の仲見世商店街は昭和29年に建てられた火に弱い木造建築。
50年ほど前、放火が相次いだ時期があり、
それ以来、夜警小屋と夜警番を置いたそうです。
現在の車は3代目。デザインは昔から変わっていません。
「昔はよく、夜中に人が来てね。夜警の人に人生相談していったんだよ」
立石らしいほんわかエピソード。いまでも現役です。